★5種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ)

乳幼児の予防接種における「ヒブワクチン」・「4種混合ワクチン」が令和6年4月1日から「5種混合ワクチン」へ変更となります。
原則として同一のワクチンで接種を行うこととなるため、生後2か月以降1回目から4種混合ワクチン・ヒブワクチンでそれぞれ接種を開始している方は、その後も4種混合ワクチン・ヒブワクチンでそれぞれを接種していくこととなります。

■対象
生後2月から生後90月に至るまで

■接種間隔など受け方
初回:20日以上、標準的には20日~56日までの間隔をおいて3回接種
(例:月曜日に受けたら3週間後の月曜日から接種可能)

追加:初回接種終了後から6月から18月までの間隔をおいて1回接種

■実施期間
通年

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◆ジフテリアとは
ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。昭和56(1981)年に改良型ジフテリア百日せき破傷風混合ワクチン(DPT)(無細胞型)が導入され、現在では国内の患者発生数は年間0が続いていますが、アジア地域では、時折流行的発生がみられています。感染は主にのどですが、鼻腔内にも感染します。ジフテリアは感染しても10%程度の人に症状が出るだけで、残りの人は症状が出ない保菌者となり、その人を通じて感染することもあります。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様のせき、嘔吐などで、偽膜と呼ばれる膜がのどにできて窒息死することもあります。発病2~3週間後には菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがあるため注意が必要です。

◆百日せきとは
百日せき菌の飛沫感染で起こります。昭和25(1950)年から百日せきワクチンの接種がはじまって以来、患者数は減少してきていますが、最近、長びくせきを特徴とする学童から思春期、成人の百日せきがみられ、乳幼児への感染源となり、特に新生児・乳児が重症化することがあるので注意が必要です。典型的な百日せきは、普通のかぜのような症状ではじまります。続いてせきがひどくなり、顔をまっ赤にして連続的にせき込むようになります。せきのあと急に息を吸い込むので、笛を吹くような音が出ます。熱は通常出ません。乳幼児はせきで呼吸ができず、くちびるが青くなったり(チアノーゼ)、けいれんが起きるあるいは突然呼吸がとまってしまうことなどがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こしやすく、新生児や乳児では命を落とすこともあります。

◆破傷風とは
破傷風菌はヒトからヒトへ感染するのではなく、土の中などにいる菌が、傷口からヒトの体内に入ることによって感染します。菌が体の中で増えると、菌の出す毒素のために、筋肉の強直性けいれんを起こします。最初は口が開かなくなるなどの症状が気付かれ、やがて全身の強直性けいれんを起こすようになり、治療が遅れると死に至ることもある病気です。患者の半数は本人や周りの人では気が付かない程度の軽い刺し傷が原因です。土中に菌がいるため、感染する機会は常にあります。また、妊娠中の母親が抵抗力(免疫)をもっていれば出産時に新生児が破傷風にかかるのを防ぐことができます。

◆ポリオとは
ポリオ(急性灰白髄炎)は「小児まひ」と呼ばれます。人の口から入ったポリオウイルスは咽頭や小腸の細胞で増殖します。小腸の細胞ではウイルスは4~35日間(平均7~14日間)増殖すると言われています。増殖したウイルスは便中に排泄され、再びヒトの口に入り抵抗力(免疫)をもっていないヒトの腸内で増殖し、ヒトからヒトへ感染します。ポリオウイルスに感染しても、ほとんどの場合は症状が出ず、一生抵抗力(終生免疫)が得られます。症状が出る場合、ウイルスの感染が血液を介して脳・脊髄へ広まり、麻痺を起こすことがあります。ポリオウイルスに感染すると100人中5~10人は、かぜ様の症状があり、発熱を認め、続いて頭痛、嘔吐があらわれます。 また、感染した人の中で、約1,000~2,000人に1人の割合で手足の麻痺を起こします。一部の人には、その麻痺が永久に残ります。麻痺症状が進行し、呼吸困難により死亡することもあります。

◆ヒブ(Hib)とは
インフルエンザ菌、特にb型は、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎などの表在性感染症の他、髄膜炎、敗血症、肺炎などの重篤な深部(全身)感染症(侵襲性感染症とも言います。)を起こす、乳幼児にとって問題となる病原細菌です。Hibによる髄膜炎は 平成22(2010)年以前は、5歳未満人口10万対7.1~8.3とされ、年間約400人が発症し、約11%が予後不良と推定されていました*。また、生後4か月~1歳までの乳児が過半数を占めていました。(*厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の資料による。)現在は、Hibワクチンが普及し、侵襲性Hib感染症はほとんどみられなくなりました。

※この事業には、国から補助を受けている特定防衛施設周辺整備調整交付金事業基金が活用されています。